臨床検査部
臨床検査部は、臨床検査技師26名(2024年4月現在)を配置し、患者さまから採取した血液、尿、便などの検体を対象とする検体検査(輸血検査を含む)と、患者さま自身を対象とする生理検査、その他に病理組織・細胞診検査、微生物検査、健診業務などを行っています。
院内では感染対策チーム(ICT)、栄養サポートチーム(NST)、治験等、チーム医療に貢献するとともに、学生実習や他施設の技師に対して心エコー業務を指導するなど、院内だけでなく、地域の医療機関の技術の向上にも取り組んでいます。(日本臨床衛生検査技師会品質保証施設)
- 常に患者さまの立場で、迅速かつ正確な臨床検査情報を提供します。
- 患者さまと他部門からの信頼を高め、安定した質の高い臨床支援を提供し、チーム医療に貢献します。
- 医療技術者として専門知識と技術の研鑽に努めます。
- 細胞検査士 4名
- 国際細胞検査士 4名
- 認定臨床微生物検査技師 1名
- 感染制御認定臨床微生物検査技師(ICMT) 1名
- 認定超音波検査士(循環器) 5名
- 認定超音波検査士(消化器) 2名
- 認定超音波検査士(体表臓器) 1名
- 乳癌検診超音波検査実施技師 3名
- 認定輸血検査技師 1名
- 認定血液検査技師 1名
- 認定心電検査技師 1名
- JHRS認定心電図専門士 1名
- 認定病理検査技師 3名
- 2級臨床検査士(血液) 1名
- 2級臨床検査士(微生物) 1名
- 2級臨床検査士(循環生理学) 1名
- 緊急臨床検査士 1名
- 健康食品管理士 2名
- 聴覚医学会中級コース修了聴力検査士 1名
- 聴覚医学会初級コース修了聴力検査士 2名
- 上級バイオ技術者 3名
- 有機溶剤作業主任者 3名
- 特定化学物質等作業主任者 3名
- 毒物・劇物取扱者 2名
- NST専門療法士 2名
- 肝疾患コーディネーター(臨床検査技師) 6名
- 山口県糖尿病療養指導士 5名
- 臨床検査技師臨地実習指導者講習会修了 2名
生化学検査
採血した血液を遠心分離し、その血清を用いCanon TBA-c16000にて
- 肝機能(AST、ALT、γGTPなど)
- 腎機能(CRE、BUNなど)
- 脂質(HDL-C、LDL-C、CHOなど)
などを分析しています。
また、採血後60分以内の結果報告を目指し、迅速化に努めています。
病態によっては、上記検査項目以外にも感染症、腫瘍マーカー、甲状腺ホルモンなどを測定しています。
血液検査
血液中の白血球数や赤血球数、止血に関係する血小板数などの検査や、出血した際の凝固機能や線溶検査、骨髄穿刺検査なども行っています。
輸血検査
生命に関わる医療事故や輸血による副作用を未然に防ぐために重要な検査です。
また、当院では、より安全な自己血輸血(患者自身の血液を手術日以前に計画的に貯める)による手術も推奨しています。
輸血技師を配置して、精度の高い輸血検査を実施し、夜間でも血液型検査には複数の技師で血液型を確認し、安全な輸血療法を提供できるように努めています。
1. 血液型検査(ABO式、Rh式)
2. 不規則性抗体検査
過去の輸血や妊娠により産生された抗体を調べ、輸血による副作用を防止
3. 交差適合試験
血液センターから供給される献血製剤と患者さまの血液の適合性を確認
4. 輸血前・後感染症検査
輸血によるウイルス感染の有無を確認
などを実施しています。
一般検査
患者さまから採取した尿・便あるいは血液や臓器の一部を調べることにより、その病気の診断や治療方針の決定に役立てられます。
一般検査では、主として尿・便・体腔液を検体として検査を行っていますが、当院では、糖尿病検査(グリコヘモグロビン:HbA1C)も行い、糖尿病の診断・治療のため、より迅速な結果報告に努めています。
また、血液ガス検査や胃潰瘍の補助的検査である尿素呼気試験(ピロリ菌の検出)尿中ピロリ抗体検査も行っています。
1. 尿検査
非侵襲検査の代表であり、腎臓・肝臓疾患の診断の補助になります。
尿定性検査
試験紙を用いて蛋白・糖・ケトン体・ウロビリノーゲンなどを調べる最も一般的なスクリーニング検査です。
尿中有形成分検査(尿沈渣)
赤血球・白血球・上皮細胞・細菌などを定量し、必要に応じて尿を遠心し顕微鏡で観察します。
2. 便検査
潜血検査は、糞便中のヘモグロビンを検出する検査で、大腸癌のスクリーニング検査です。その他、寄生虫検査(糞便中の寄生虫や虫卵の検出)も行っています。
3. 体腔液検査
脳脊髄液、胸水、腹水、精液などの化学成分検査と細胞の分類をします。
4. 糖代謝検査
血糖(血液中のブドウ糖:グルコース)、グリコヘモグロビン検査(HbA1C:グリコヘモグロビン)は赤血球に含まれる血色素のヘモグロビンがブドウ糖と結合したものです。
この濃度は、過去1~3ヶ月間の平均的な血糖値を反映します。
5. 尿素呼気試験
ピロリ菌を検出する精度の高い検査で、診断薬を服用し服用前後の呼気で検査します。
6)血液ガス検査
動脈血液中のPO2・PCO2・ミネラルなどを測定します。
心電図 | 不整脈、狭心症、心筋梗塞、心肥大、伝導障害などの有無とその種類を調べることができる簡便な検査です。 |
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ホルター心電図 | 24時間連続で心電図を記録する検査で、不整脈の種類と頻度、狭心症などの心電図変化の有無を調べる検査です。 記録装置は、小型化、軽量化が進み、患者さまの負担は軽減されています。 |
トレッドミル運動負荷心電図 | 心電図、血圧をモニター下に、ベルト上を歩き、胸部症状および心電図変化を調べる検査です。 虚血性心疾患(主に労作性狭心症)の診断と重症度の判定、運動誘発不整脈の評価に用います。 |
心臓超音波検査 | 心臓の機能や形態、心筋の動きや厚さ、弁の形や動きなどを調べる検査です。 超音波は放射線被曝がなく、身体に侵襲がありません。 |
頚動脈超音波検査 | 脳に血液を送る血管の狭窄、閉塞の有無を調べる検査です。 また、動脈硬化の評価においても有用です。 |
下肢動・静脈超音波検査 | 下肢の動脈…狭窄、閉塞の有無を調べる検査です。 下肢の静脈…血栓(深部静脈血栓)の有無を調べる検査です。 |
肺機能検査 | 肺の弾力や容量、換気能力を調べる検査です。 肺気腫などの慢性肺疾患を早期に診断できます。 |
血圧脈波検査 | 上肢、下肢の血圧差から、下肢動脈閉塞の有無を、脈波の伝播速度から動脈の硬さの程度を調べる検査です。 |
神経伝導検査 | 筋肉または神経に刺激を加え、刺激が伝わる速度により、末梢神経の障害の程度を調べる検査で、糖尿病性神経障害の評価に有用です。 |
脳波検査 | 脳の活動による微小な電気信号を測定し、その変化を波形で記録します。てんかん、脳血管障害、頭痛の診断に重要です。 |
終夜睡眠ポリグラフィー検査 | 睡眠時無呼吸症候群など、睡眠を阻害する原因の有無、規則正しい睡眠がとれているかを調べる検査です。 一泊入院が必要です。 |
聴力検査 | オージオメータ(聴力測定機器)を用い、患者さま自身の応答にて、耳の聞こえの程度、難聴の有無を調べる検査です。 |
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)
気道の閉塞などの原因で、睡眠中に何回も呼吸が止まる病気です。いびきや起床時の頭痛、倦怠感などの症状があります。
また、高血圧や心筋梗塞などの循環器疾患や、糖尿病などの合併症、日中の眠気のために交通事故などを引き起こす可能性があります。患者さんに合わせた適切な検査と治療が必要です。
検査
治療方法
- 軽症…減量、生活習慣の改善
- 中症~重症…シーパップ(CPAP)療法
- 日本病理学会研修登録施設 第6064号
- 日本臨床細胞学会施設認定 第0597号
スタッフ
- 非常勤病理医(病理専門医・細胞診専門医)
- 臨床検査技師(細胞検査士)3名
病理組織検査
手術や生検(胃カメラ検査など)で採取された組織から、プレパラートを作製します。組織はいくつかの特殊な工程を経て、約3μm(0.003mm)に薄く切り、必要な染色をし、顕微鏡で観察できるプレパラート標本となります。
標本製作は、臨床検査技師が担当し、病理専門医が病変の診断を行います。
病理組織検査により、病気の確定診断や治療方針の決定に必要な情報が得られます。
胃手術標本の病理組織検査
細胞診検査
喀痰や尿中の細胞、乳腺や甲状腺を針で刺して採取した細胞などから、プレパラート標本を作製し、異常な細胞の有無を調べます。
肺がん検診や子宮がん検診も細胞診検査で行います。これらは認定資格を有した細胞検査士が担当し、細胞診専門医が最終判定します。
病理解剖
病気で亡くなられた患者さまの解剖を行い、死因の究明や治療効果・病態を検討します。
今後の治療と診断に役立たせて頂いております。
患者さまから採取される様々な材料(喀痰、尿、便、膿、血液、髄液、胸水、腹水など)から、感染症の原因となる病原微生物を検出し、その病原微生物に対して有効な抗菌薬を調べ、感染症の治療に役立つ情報を提供しています。
また、感染制御チーム(ICT)の一員として、医療関連感染の有無を監視するとともに、院内で検出された細菌の種類や頻度などを統計処理し、迅速かつ正確な情報を提供するように努めています。
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)をはじめ、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、多剤耐性緑膿菌、ESBLなどの薬剤耐性菌については、特に他部署と連携し、アウトブレイク(院内大量感染)が発生しないように監視しています。
業務内容
塗抹検査 | 検査材料をスライドグラスに塗り、染色して顕微鏡で観察します。 染色性や形から、病原菌の推定を行います。 重要な所見があれば、随時電話報告をしています。 |
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培養・同定検査 | 検査材料を栄養分を含む寒天培地で35~37℃、18~48時間培養し、 細菌を目に見える大きさまで発育させます。 発育した細菌の性状などを調べ、細菌の種類を決定(同定)します。 |
薬剤感受性検査 | 培養で感染症の原因菌が認められた場合、どのような薬剤が有効かを 自動測定機器を用いて調べます。 |
迅速検査 | 一部の病原体において、約15~30分で抗原を検出できる迅速検査を行っています。 |
服部 幸夫(はっとり ゆきお) | |
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職名 | 検体管理部長 |
専門分野 | 臨床検査医学、一般内科 |
認定・専門医 | 臨床検査専門医 |
ひとこと | 専門は臨床検査医学です。検体検査の管理業務を主たる任務としておりますが、臨床の先生方と検査室を繋ぐパイプ役となれば、と希望しております。 一方、臨床検査医学は「内科」に属しており、細々ではありますが、一般内科医(GP)として診療にも係ってきました。ご一緒に勉強できれば幸いです。 |