済生会山口総合病院 設立60周年

「いのち」のために高度医療技術の向上と地域医療の発展に取り組む。

(平成23年11月11日読売新聞掲載より抜粋)

恩賜財団済生会が創立100周年、
済生会山口総合病院が設立60周年、おめでとうございます。

院長 ありがとうございます。

恩賜財団済生会の歴史を簡単に紹介してください

院長 1911年(明治44年)2月11日、明治天皇が総理大臣桂太郎を呼ばれ「恵まれない人々のために施薬救療による済生の道を弘めるように」との済生勅語に添え、お手元金150万円をくださいました。桂総理はこれを基金に、全国の官民から寄付金を募って同年5月30日に恩賜財団済生会を創立しました。済生会の総裁は代々皇族がお務めになっています。1951年(昭和26年)に公的医療機関の指定、翌52年に社会福祉法人の認可を受け、現在全国に80の病院と291の福祉施設等を展開、職員総数5万1000人の日本一の規模を誇る保険・医療・福祉の団体です。創立100周年を迎え、創立の精神を引き継いでいくことを再確認しています。

山口総合病院の歩みを教えてください

院長 昭和26年11月11日に64床で済生会山口病院として出発しました。徐々に病床規模を拡大、1976年(昭和51年)に157床になり、1980年(昭和55年)に現在の名称に変更、二次救急輪番病院になりました。1984年(昭和59年)に東棟を増築、1990年(平成2年)に310床になり、1992年に西棟を増築し現在の規模になりました。2008年(平成20年)に病院機能評価認定病院、2009年にDPC対象病院、今年地域医療支援病院の認可を受けました。決して平坦な道のりではありませんでしたが、済生会山口県支部、山口大学医学部、山口市医師会、山口市など各種団体からご支援をいただいて、設立60周年を迎えることができました。今後も全職員一丸となって地域医療の充実と向上に取り組んでいきます。

発足当時の病院 全景

済生会山口総合病院が目指しておられるものは何でしょうか

院長 私たちのテーマは「済生の心」。「済生」とは「いのちを救う」という意味です。救える命を救うことに全力を尽くすことであり、不幸にして救えない命には「心を救う」ことが重要だと思っています。少しでも症状や気持ちの負担を軽くして、その人なりの「意義のある人生」を過ごしていただけるよう最善を尽くすこと、それが「済生の心」だと思っています。

社会福祉法人としての使命についてどのようにお考えですか

院長 あまり知られていませんが、我々は公的病院として、社会福祉法人として、経済的な理由で十分な医療が受けられない方に対して、医療費の一部から全額を免除して医療を行っています。無料低額医療は生活保護受給者など多くの方に利用していただいています。刑務所から出所して社会復帰を目指している方やDVの被害者など様々な理由で医療費の支払いが困難な場合は、その支援策「なでしこプラン」で減免しています。これらの活動は済生会の理念にかなうものであり、広く知っていただきたい事業です。

■ 済生会紋章(なでしこマーク)の由来

初代総裁・伏見宮貞愛親王殿下は、創立当時、済生会の事業についてのお心を次のような「撫子の歌」としてお詠みになりました。このお歌にちなんで、いつの世にもその趣旨を忘れないようにと撫子の花に露をあしらったものが、大正元年から済生会の紋章となっています。

露にふす末野の小草いかにぞとあさ夕かかるわがこころかな

(生活に困窮し、社会の片隅で病んで臥している人はいないだろうか、いつも気にかかってしかたない)

「山口地域が1つの病院」という考えをお持ちと聞いています

院長 我々の病院は山口地域において救急医療、急性期入院治療、高度な検査ができる機能を持った病院を目指していこうと考えています。そのため回復期リハビリテーションや療養の機能はありません。それらは次の病院へ転院して行っていただくことになります。そのために病院間で情報の連携をしています。自宅に帰られる場合はかかりつけの医療機関に情報を提供していますので安心して移っていただけます。度々の転院を伴いますが、その時々に最も適した医療・福祉を受けることが一番重要だと考えています。

地域医療支援病院の承認を受けられましたね

院長 今年3月、県央部では初めて県から承認を受けました。承認の重要な要件は地域連携がきちんとなされていること。当院は現在、紹介率62%、逆紹介率73%と高い地域連携を行っています。開業医の先生は自由に当院の高度医療機器で検査することもできますし、軽い症状で入院された患者さんには開業医の先生が主治医として対応していただくこともできます。

済生会山口総合病院の現況を説明してください

院長 山口医療圏内で輪番制での二次救急病院としての役割を担っていると同時に、県北部の萩市、長門市、阿武郡や美祢市美東、島根県西部の津和野や益田市の医療機関とも連携し救急患者を受け入れています。病院内にはドクターカーが常駐、心肺停止などの重症が予想される場合は医師が同乗して急行、現場で医療を行います。

今後力を入れていきたい診断科目は何でしょう

院長 がんの診断です。県央部山口地域にはPET(陽電子放射断層撮影)がなく、詳しい検査ができませんでした。そこでPETと同等に全身のがんを検査することができる「3.0T MRIインジニア」という装置を導入します。この装置は特殊な薬を必要とせず、PETよりも短時間で検査ができます。来春には稼働させたいと考えています。
 また現在の病院は建物も設備も古く、決して良い療養環境とは言えません。近い将来、病院を建て替えたいと考えています。同時に我々も医療、看護の技術向上はもとより、人間的に成長して地域の皆様のご要望に応えられるよう精進したいと思っています。

社会福祉法人恩賜財団済生会支部 山口県済生会山口総合病院
〒753-8517
山口県山口市緑町2-11
TEL083-901-6111
FAX083-921-0714
[ 休診日 ]
土・日・祝日
病院創立記念日(11/11)
年末年始(12/29~1/3)